9月7日(告知)
2006年 09月 07日
今更何を聞きに行けば良いのだろうか、言われることなんて分かっているのに・・・殆ど眠れず、ボッとした頭でそんな事を考えながら、夫の運転で病院へむかう。
私 「ねぇパパ、今日もし乳癌だって言われたら、病院を変えたいんだけど」
夫 「どこか良い病院、知ってるの?」
私 「YR病院に、専門の乳腺外来があるから、そこで診てもらいたい」
夫 「そうだね、もしもそうだったらね」
病院へ着くと殆ど待たずに名前を呼ばれた、私の恐怖心は既に許容量(ミニマムですが)を遥かに超えまっすぐに歩けない、夫に抱えられるようにして診察室へ入る。
前回に診察してくれた気さくな女医さんでは無かった、銀縁のメガネだけが、やけに冷たい印象のDrは淡々とした口調で話し始めた。
Dr 「検査の結果ですが、やはり乳癌ですね」
私 「ひぃやぁぁぁ~」 声にならない絶望の叫びが、喉の奥から漏れた。
その場にヘタヘタと崩れ落ちそうになった所を、夫に支えられ、ベッドに座らされる。
Dr 「どうされます、ご主人だけお聞きになりますか?」
懸命に頭を振る、私の居ない所で、交わされる会話が怖い、聞くのも怖いけど、聞かない方がもっと怖かった。
Dr 「大きさは1.5cm、後は色々と検査をしてみないと、まぁそんなに急がなくても取ってしまえば済む物ですから、右にもしこりがありますが、こちらは良性のようですね、気になるなら、手術の時に一緒に取って調べてみたら良いですよ」
余りにもあっけない告知と、無感情な説明だった。
そこで夫が切り出した
夫 「すみませんが、セカンドオピニオンの紹介をお願いしたいのですが、YR病院に乳腺外来の専門科があるそうなので、そちらを紹介して頂けないでしょうか」
Dr 「良いですよ、それは構いません」
そのまま淡々と看護婦さんへ指示を出す。
看護婦 「それでは紹介状が出来るまで、待合室でお待ち下さい」
待合室の椅子に腰を掛けた、頭の中に霞がかかっている、夫がギュッと手を握り締めてきた、誰に見られても恥ずかしくなんか無かった。
夫 「泣いちゃダメだよ、泣くなら家に帰ってから、思いっきり二人で泣こう」
そう言った夫の目は潤んで今にも涙が零れ落ちそうだった、私は・・・私は泣きたくなかった、悲しいのかどうなのか、自分でもよく分からなかった。
紹介状を受け取ると、夫は直ぐにYR病院へ連絡を入れてくれた、9月11日、13時から、予約は一杯で入れられないので、何時間待つか分からないが、必ず診察をしてくれるそうだ。
無言のまま家に帰る、ソファーに座った途端、夫がポロポロと涙をこぼした。
その時、あの大きかった夫の身体が随分と小さくなっていた事に初めて気がついた、私は泣けなかった。
病気になんか負けるものかとか、そんな思いとは違う・・・ただ事実を受け入れられなかった
by yuki_yukimin
| 2006-09-07 09:00
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